ポーラの本棚

ベッドサイドに、物語を

はいかちりか

 夜。屋外。

 喪服姿の小柄な男がタバコを吸っている。

 そこに、大柄な男がやって来て、煙草に火をつける。

 

大柄な男 あっけないもんだよ。

小柄な男 ……。

大柄な男 灰になっちまうんだな、どんな生き方しようとも、最後は平等に。

小柄な男 お前、煙草。

大柄な男 ああ、初めてみた。

小柄な男 やめとけ。

大柄な男 説得力ないわ。

 

 間。

 

大柄な男 田舎だなあ。

小柄な男 なんだいきなり。

大柄な男 星がすげえ。

小柄な男 普通だよ。

大柄な男 普通じゃないんだよ。宇宙旅行ってさ、どのくらいしたら民間に普及するかな。

小柄な男 なんだよいきなり。

大柄な男 一家に一台、小型ロケットみたいな。

小柄な男 そんなの、ずっと先だろ。

大柄な男 俺が生きてる内には。

小柄な男 どうだろうな。

大柄な男 なあ。

小柄な男 何。

大柄な男 もし俺が先に死んだらさ、ロケットで打ち上げてよ、俺の遺体。

小柄な男 は?

大柄な男 宇宙葬だよ。灰になるぐらいだったら、俺は宇宙の塵になりたい。あわよくば星に。

小柄な男 なんだよそれ。

大柄な男 ロマンだよ。

小柄な男 くだらない。

大柄な男 お前は?

小柄な男 ……火葬でいい。

大柄な男 え、いいの?

小柄な男 ああ。あっけなくていい。

 

 小柄な男、煙草を揉み消す。

 

大柄な男 分かった。じゃあ、俺その灰、オーストラリアに持ってくわ。

小柄な男 やめろ。

大柄な男 ロマンだよ。

 

 ふたり、戻る。